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生(なま)のジャズを楽しむとしたら何と言ってもライブハウスだろう。コンサートホールにはない臨場感があり、酒とタバコの煙が如何にもジャズ風である。
中でも最もエキサイティングなステージはジャムセッションである。ジャムセッションとは複数のプレーヤーが一つのテーマを基にアドリブを競うもので、まさしく「ジャズの格闘技」と言える。
プレーヤーによってジャムセッション向きとそうでない人がいる。概してスインギーでノリ易いタイプはジャムセッションで力を発揮するがクールで知的なプレーヤーには余り向いていない。
ある新聞のコラム記事によれば世界の金融を操るといわれているかの有名なグリーンスパン氏は若き日にジャズのテナーサックス奏者だったそうだ。彼は譜面通りに演奏することが得意であり、ジャムセッションは苦手であったと言う。彼のイメージからするとさもありなんと納得させられる。
かくいう私はジャムセッション派であり、ステージから「高橋さん、一緒にやろうよ」等と言われると「いやいいですよ、私なんか」と言いつつも楽器をそっと取り出して準備を始めるのである。 |