その日は丁度今頃のような暑い日であった。渋谷でジャズ仲間と練習し、その後居酒屋で反省会?を行った。いつものように後のみではジャズ論を戦わせて楽しい時間を過ごしたのである。そして終電間際となり仲間の一人のアパートにしけこむことになった。
仲間のアパートは等々力という街で駅からアパートに向かう途中、こんもりした森があり、その中に社が見える。3人は異口同音に「ちょっとここでセッションしようか!」直ちに実行。
皆持参の楽器を取り出す。ギター、ドラム(スティックのみ)そして私のソプラノサックスである。恐る恐る吹き始めたのであるが音の響きが素晴らしい。その後も経験したことであるが木立の中は反響が素晴らしく音が澄んで聞こえる。次から次へと数十分演奏を続けた。
するとやがて小さい老人がちょこちょこと歩み寄ってきて「君たち、今何時だと思っているの?」だと。みすぼらしいおじさんは警官であった。そのまま近くの交番に連れ込まれて延々と油を搾られた。
後日談である。仲間の一人が報道関係に勤めていた。翌朝ニュース原稿を見ると昨夜等々力不動で深夜楽器を演奏していた若者がいた・・・というニュース!でもたまたまその日は他にニュースがあったので我々の“暴走”は報道から免れたのだった。あー、助かった!
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