ジャズはアメリカから発祥した音楽だがヨーロッパにも優れたミュージシャンが数多くいる。ヨーロッパにジャズを伝え、浸透させた一人としてシドニー・ベシェというニューオリンズ出身のミュージシャンの存在を忘れることはできない。
シドニー・ベシェはクラリネットとソプラノサックスの名手であり、彼が妻のために作曲した「小さな花」は日本でもザ・ピーナッツの歌でヒットした名曲である。彼は黒人への偏見のないフランスに移住し、現地ミュージシャン達から尊敬を集めた。更にイギリスや北欧のデキシーランドジャズバンドにも多大な影響を与えたのである。
彼の影響もあってヨーロッパではトラッド・ジャズ(伝統的なジャズ)が盛んである。イギリスではクリス・バーバー、ケン・コリア―、オランダのダッチスイング、北欧のパパブー・バイキングジャズバンド等優秀な世界的デキシーランドジャズバンドを数多く生んでいる。
現在でもニューオリンズに行くとヨーロッパ出身の奏者が数多くおりそのレベルの高さに驚かされる。ニューオリンズジャズ自体は泥臭さを持った土着音楽の色彩が濃いがヨーロッパのミュージシャン達はその良さを継承しつつ、音楽性を加えて洗練された質の高いニューオリンズジャズを構築しているのである。
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